ニュースレター

    ニュースレター vol.3|海洋散骨したら「お盆」はどう過ごす?

    宗教観にとらわれない
    故人に「また会える」海洋散骨という方法

    当社は、日本における葬送の現状、課題および当社の取り組みなどを紹介する「Newsletter」を発行しています。第3回目は、「海洋散骨したら「お盆」はどう過ごす?」をテーマに、海洋散骨後に故人を偲ぶ方法を、海洋散骨を体験した人が語る実際のエピソードを交えてお届けします。

    お盆はご先祖様をお迎えし向き合うための期間

     一般にお盆とは、浄土から帰ってくるご先祖様の霊をお迎えする行事のことを指します。8月中旬の4日間をお盆期間とするのが一般的ですが、地域・慣習により7月に行うこともあります。中でも、特に故人が亡くなった後初めて迎えるお盆は「新盆(にいぼん)」または「初盆(はつぼん)」とも呼ばれ、自宅に僧侶を招いて法要を行うなど、通常のお盆行事よりも特に大切に考えられています。お盆期間にはお盆飾りやお供え物の準備をしたり、お仏壇や祖霊舎の掃除をしたりなど様々な過ごし方がありますが、特に多くの場合、お墓参りに行きお墓を掃除することが一般的と捉えられています。諸説ありますが、ご先祖様の霊(魂)を自宅に迎え入れるのと同時に、ご先祖様の肉体に会いに行く、という考えからお墓の前で手を合わせるという風にも考えられているようです。
    なお、お盆は仏教由来の行事と思われがちですが、神道でもお盆行事を行います。神道のお盆も仏教と同じように7~8月に供物などを用意し、ご先祖様の霊をお迎えして祀ります。日本では、古くから信仰されていた神道の思想や慣習と、中国から伝来した仏教の思想が融合した行事も多くあります。また現代では特定の菩提寺を持たない人も多く、僧侶を呼ばない「無宗教」形式で行う葬儀も世の中に広まってきています。したがって昨今のお盆は宗教儀式としての側面よりも、忙しない日常の中で故人様やご先祖様を思い出し、向き合うための期間や慣習として行われていると考えられます。

    散骨した人のお盆の過ごし方

     故人の遺骨を海で供養する海洋散骨は、宗教色を持たない「無宗教」の形式で執り行われます。そのため、多くの場合四十九日や一周忌なども僧侶を招いて法要を執り行うことはせず、親族での会食や挨拶のみで済ませることが一般的です。したがって初盆に際しても、法要はもちろんお盆飾りや迎え火などは行わない家庭がほとんどと考えられます。また、海洋散骨では海洋上に遺骨を散布するため、その後にお墓参りをして墓石の前で手を合わせることや、再びご遺骨と対面することは叶いません。しかしながら、故人様を弔う手段として海洋散骨を選んだ人々にとっても、亡くなった人を想う気持ちの大きさは同じです。海洋散骨を終えた人々が故人を想う方法は様々ですが、以下のような例が挙げられます。

    散骨をした海へ船で訪れる、お参りのための専用クルーズ便を定期的に運航しています。海洋散骨を終えた後は「海洋散骨証明書」という散骨地点の緯度と経度が記された証明書が発行されるため、散骨を行ったのとまったく同じ地点を再び訪れることもできます。
    メモリアルクルーズ®では船上からご遺骨を散布することはなく、参加者は生花を手向けたり、故人の好きだった音楽を流したり、思い思いの方法で海の上のお参りを行います。

    当社では「故人が眠る海をきれいに」を合言葉に掲げ、護岸や海岸の清掃活動を定期的に開催しています。参加者からは、海岸の清掃活動をすることで「故人のために何かしてあげたい」という気持ちを消化でき、達成感が感じられるとのコメントもあります。様々な理由で船に乗ることができない人がメモリアルクルーズ®の代わりとして参加するケースもあるようです。

    故人様の遺骨を自宅等の身近なところで供養する方法を「手元供養」といいます。当社で海洋散骨を行う人の4割程度が何らかの形で手元供養を残しており、遺骨の一部を容器やアクセサリーに納めるほか、遺骨そのものを加工し宝石にするなどの方法もあります。身近で常に故人様を感じられることから、兄弟でそれぞれ作成したり、遠方に住む遺族に渡したりなど、ライフスタイルを問わず故人をいつでも想うことのできる供養方法です。

    経験者が語る、海洋散骨の魅力と散骨後の変化

    今年7月15日(海の日)には、過去に大切な人を見送ったことがある海洋散骨の経験者をスピーカーとして招き、散骨検討中の人々へ体験談を語りながら模擬散骨を体験する特別な散骨体験クルーズを開催いたしました。その中で語られたエピソードの一部をご紹介いたします。

    T.M様(女性・東京都在住)
    「生前主人(故人)とよく話して決めた散骨でした。主人が一番気にしていたのはまだ小さな孫。コロナ禍に亡くなったため、最後まで孫に会わせることはできませんでした。散骨したら最後の別れになってしまうような気もしましたが、乗船した孫に「羽田に来た時。ディズニーに来た時。海の方を見るとおじいちゃんがいるからね。」とスタッフの方が声をかけてくれ、そのときにすごく心が楽になりました。こうして船で海に訪れると、私も主人にまた会いに来られたと嬉しく思います。もう少し孫が成長したら、次は船を貸切ってお参りに来たいと思っています。」

    T.A様(男性・千葉県在住)
    「娘しかいない私夫婦は、海洋散骨にしようと決めていました。しかし妻(故人)は聞いていた余命よりもかなり早く逝ってしまい、海洋散骨の遺志は決まっていたものの、どこの海がいいとか、彼女の希望は何も聞くことができませんでした。そんな時、ふとテレビで見かけた宮城県・松島の美しさに魅力に感じ、松島湾での海洋散骨に決めました。思い返せば、たった一度だけですが二人で訪れたことがある場所でした。
    実際、海洋散骨で改めて訪れると、とてもきれいな場所で素晴らしい経験になりました。また11月に家族みんなでお参りに行く予定です。松島は、妻の出身地だとか、縁のある場所ということではありませんが、今回の散骨を通して私たち家族にとって特別な場所になりました。
    余談ですが、旅行や家族の写真など、子供が大きくなると少なくなってきてしまうかもしれません。ですがいつに何が起こるかわからないです。旅行に行けるのは今だけです。私のように後悔しないでほしいので、ぜひ皆さん、ご家族との時間を大切になさってください。」

    お二人とも、海洋散骨を行った結果、その海や周辺地域が特別な場所になったと語っていました。本来は毎日でも故人様を思い出し感謝することが一番の供養となるでしょう。しかし、日常の忙しなさに流されだんだんと故人様を想う時間が減ってしまうこともあります。お盆は海洋散骨を行った人々にとっても、故人様を思い出し向き合う為の期間です。当社では、遺族や関係者がいつでも亡くなった大切な人を思い出せるように、印象に残る場所選びやセレモニー体験を重要視し、一度きりの海洋散骨を提供しています。

    ニュースレター vol.2|海洋散骨の準備「立会粉骨」とは?

    お墓がない供養の方法だからこそ
    いつまでも遺族の記憶に残るセレモニーを

    当社は、日本における葬送の現状、課題および当社の取り組みなどを紹介する「Newsletter」を発行しています。第2回目は、「海洋散骨の準備「立会粉骨」とは?」をテーマに、粉骨のメリットや海洋散骨以外で粉骨するケース、当社が推奨している立会粉骨の重要性などについてお届けします。

    海洋散骨前の「粉骨」は環境への配慮も

    海洋散骨とは、火葬後の遺骨を粉状にし、上空や船舶の上から海へ撒いて供養する葬送方法の一つです。 遺骨を粉状にせず、そのまま海へ散骨することは禁止されており、海洋散骨を施行する際は厚生労働省のガイドライン1)や一般社団法人日本海洋散骨協会の「日本海洋散骨協会ガイドライン」を遵守する必要があります。2)海洋散骨の場合は、散骨をする前に必ず、遺骨を粉状に砕く「粉骨」を実施します。遺骨を粉末状にすることは、その過程で金属などの不純物を取り除くことができ、環境への配慮にもつながります。
    なお、海洋散骨以外で粉骨するケースとしては、遺骨が小さくなり管理しやすくなることから、自宅での供養や分骨、また樹木葬や合葬施設への納骨の際にも必要とされることがあります。

    死別の悲しみを抱える遺族のケアにつながる「立会散骨」

    当社は遺族の立会いの下で故人の遺骨を粉末化する「立会粉骨」を推奨しています。骨壺の蓋を開け、火葬場で丁寧に収められたご遺骨を、時間を巻き戻すかのように取り出していく作業を遺族と一緒に行います。実は、この作業は時間も手間もかかるため、立会粉骨を導入している事業者は多くありません。しかし当社では、海洋散骨を行う遺族にとって立会粉骨は必要なものだと考えています。
    遺骨やお墓のような目に見える「故人を想起させるモノ」が残らない海洋散骨では、遺族自身が自ら送り出した実感を持つことが重要だからです。また、海洋散骨の最大の特徴である「自らの手で送り出す」という体験をより深めるために、送り出す準備の過程として、粉骨に遺族が参加することはとても意味があるのです。
    当社は、故人を送り出すまでの過程にできる限り遺族の手をかけることが「記憶に残るセレモニー」となり、グリーフケア(死別の悲しみを抱える遺族のサポート)につながると考えています。

    「立会粉骨」の流れ

    主な立会粉骨の流れは以下のとおりです。
    詳細URL:https://blueoceanceremony.jp/sankotsu/options/funkotsu/

    1) ご予約・ご来店
    お電話にてお申し込みの上、お約束の日時に弊社までご遺骨を持参のうえお越しください。

    2)粉骨セレモニー開始
    粉骨室内に一度ご遺骨・お写真を飾り、みなさまでお参りいただきます。
    心を整えて、粉末化の行程を始めます。

    3)ご遺骨の目視確認・粉末化の準備
    骨壺を開封し、ご遺骨を少しずつ取り出していきます。ご家族様にもなるべく手をかけていただけるよう、散骨コーディネーターがご案内いたします。
    ご遺骨を取り出したのち、金属など混入物の除去や、必要に応じて洗浄・乾燥などを行う場合もございます。

    4)環境対策措置
    日本海洋散骨協会推奨の薬剤を用いて、ご遺骨に付着した有害物質「六価クロム」の還元処置を施します。

    5)粉末化
    ご遺骨は専用の機械を使い、何度かに分けて細かい粉末状にしていきます。

    6)包装
    ここからは再度ご家族様にもご参加いただき、水溶紙袋にご遺骨のパウダーをお納めします。
    乗船人数分に分けることができるので、当日は一人ずつご自身の手で散骨していただくことができます。

    7)手元供養へのご納骨
    手元供養としても残したい、という場合にはこの場でミニ骨壺やペンダントなどへ納骨いたします。

    8)お持ち帰りまたはお預かり
    お支度がすべて整ったら、ご遺骨は風呂敷に包んでお持ち帰りいただきます。お持ち帰りが困難な場合は、海洋散骨当日まで一時的に弊社でお預かりすることも可能です。

    葬送は信仰や教義に従うことも重要ですが、故人との思い入れがある場所を選んだり、大好きだった曲を流したり、自ら手を動かして参加したりなど、その人のことをずっと忘れないでいることが最も大切です。
    今後も当社では、遺族や関わった人々が故人との思い出を残す体験を重視し、「旅立つ人、見送る人」に寄り添う葬送を提供してまいります。

    1) 厚生労働省「令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」研究報告書より」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000763737.pdf

    2) 一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」
    https://kaiyousou.or.jp/guideline.html

    ニュースレター vol.1|海洋散骨と海洋投棄の違いとは?

    「海洋散骨」と「海洋投棄」は何が違う?
    故人を弔う意志の有無が判断基準に

    当社は、日本における葬送の現状、課題および当社の取り組みなどを紹介する「Newsletter」を創刊することとなりました。記念すべき第1回目は、「海洋散骨と海洋投棄は何が違う?」をテーマに、海洋散骨の定義や散骨禁止エリア、故人を安心して見送るために、悔いのないセレモニーを執り行う大切さをお届けします。

    「祭祀の目的」をもち執り行う葬送を海洋散骨と呼ぶ

    海洋散骨とは、火葬後の遺骨を粉状にし、上空や船舶の上から海へ撒いて供養する葬送方法の一つです。「自分の死後は自然に還りたい」「大好きだった海に眠りたい」といった故人の意志や、様々な事情でお墓に入れない、お墓を持てないという悩みをお持ちの方などから支持を受け、海洋散骨の施行件数は年々増加しています。
     一方で、海洋散骨は遺骨を海へ捨てている「海洋への不法投棄」と批判されることもあります。では、海洋散骨と海洋投棄は何が違うのでしょうか?一般社団法人日本海洋散骨協会の定義では、「祭祀の目的をもって、故人の火葬したあとの焼骨を海洋上に散布すること」1)とあります。また、2021年には厚生労働省からも「散骨が関係者の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生等の見地から適切に行われることを目的」2)として散骨事業者向けガイドラインが発表されました。
     日本において、故人の埋葬は「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき行われていますが、この法律には遺骨を陸地や海面に散布する行為について想定し定められてはいません。海洋散骨なのか、海洋投棄なのかは、「祭祀の目的」のもと、節度をもって執り行われるかどうかが判断基準となっています

    「祭祀の目的」とは先祖を弔うという意志があるかどうか

     ここで「祭祀の目的」とは何かに触れたいと思います。祭祀とは、先祖や神々を祀る行為や場所のことを指しており、遺骨(物体)の処分、ではなく、先祖を弔うという意志があるかどうかを意味します。弔う意志があるかどうかは、「誰が見ても弔いの行為である」と民衆が判断できる葬送・セレモニーを実施しているかどうかに関わってくるのです。海へ旅立っていく故人への想いを表現する方法は様々あり、遺族が自由に選ぶことができます。

    <節度ある散骨の例>
    〇 遺族が乗船し、自身の手で祈りを込めて海へ投下後、黙祷など弔いの行為をする
    〇 故人にちなんだ海域を選ぶ
    〇 故人の好きな曲を捧げる

    <NG例>
    ✕ 業者が不特定多数の遺骨をまとめて海へ投げ入れるだけ
    ✕ 粉骨していない遺骨をそのまま海へ散骨する
    ✕ 不特定多数の目に触れる場(公共のフェリーなど)の上から無許可で散骨する

    海洋散骨禁止の場所

     故人を弔う意志があり、節度をもって実施すれば、どこの海でも海洋散骨が可能というわけではありません。厚生労働省のガイドラインによると「海岸から一定の距離以上離れた海域」であれば実施可能とされていますが、日本海洋散骨協会がより細かく設定しています。当社を含む散骨事業者は、下記を遵守する必要があります。

    ・人が立ち入ることができる陸地から1海里以上(約2km以上)離れた海洋上のみで散骨を行い、河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖や沼地、海岸・浜辺・防波堤やその近辺での散骨を行ってはいけない。

    ・散骨のために出航した船舶においてのみ散骨を行い、フェリー・遊覧船・交通船など一般の船客がいる船舶において散骨を行ってはいけない

    ・海洋上で散骨を行うに際しては、漁場・養殖場・航路を避け、一般の船客から視認されないように努めなければいけない。

    なお、海洋散骨を施行するにあたり、現状は法律上の規定がないため事業者登録や免許等の申請は不要となっています。しかし前述の厚生労働省のガイドラインや、国土交通省のガイドライン基準3)を満たし安全に行える散骨事業者を選ぶことが大切です。なぜ海洋散骨をするのか。それは故人の意志や家族の想いを尊重し、安心して故人を海へ送るためです。海洋散骨を希望するすべての方が、悔いのない葬送を執り行えることを祈っています。

    1) 一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」
    https://kaiyousou.or.jp/guideline.html

    2) 厚生労働省「令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」研究報告書より」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000763737.pdf

    3)国土交通省「海上において散骨をする場合において遵守すべき海事関係法令の解説」
    https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001719106.pdf

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